カルボーネン法は自分だけの目標心拍数を算出できるけどキツめに設定される

ランニング

最大心拍数の計算式はいくつかあり、基本的には、計算式にあなたの年齢を使います。一般的に言って、心拍数は年齢に左右されるため、論理的と言えます。

とはいえ、同い年でもスポーツをしている人、していない人、安静時の心拍が高い人、低い人、さまざまです。

そこであなたの年齢と安静時心拍数をもとにして、目標心拍数を計算できる計算式が、カルボーネン法です。

 

今日は最大心拍数の計算式と、カルボーネン法について紹介します。

結論:カルボーネン法はハードな設定になる

 

このあと詳しく計算しますが、カルボーネン法の計算式だと、他の最大心拍数の計算式に比べて、目標とする心拍数が高めに設定されます。

 

最大心拍数の計算式はいろいろ

 

以下の記事にも書きましたが、簡単な計算式は以下のとおりです。1930年代後半からこの計算式が使用され、スポーツ医学、運動生理学、およびフィットネス内のほとんどの認定試験で用いられているそうです。

 

  ① あなたの最大心拍数=220-あなたの年齢

 

 

 

さらには、こんな計算式もあります。これは2021年1月号のランニングマガジン・クリールでも使用されているのも、この計算式でした。Gellish氏が論文で発表した計算式です。

 

② 最大心拍数 = 206.9 ― (0.67×年齢)

 

最近では以下の計算式も有力視されています。JACC(米国心臓学会誌)が提唱し、Tanakaらが論文で発表しています。

 

③ 208-0.7✕年齢

 

 

 

しかし上記の3つでは、個人に合った正確な数値は算出されません。安静時の心拍数は、同じ年齢の人でも異なることが多いからです。

そこでおすすめなのが「カルボーネン法」です。安静時の心拍数を考慮した計算式です。

 

カルボーネン法とは

カルボーネン法とは、年齢と安静時心拍数年齢や安静時心拍数から運動強度を算出する方法です。計算式は以下のとおりです。

 

④ ((220-年齢)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数

 

上記に当てはめてみると、安静時の心拍数により、結果が大きく変わります。

以下の表は安静時心拍数の目安です。

例えば以下の二人がいるとします。

Aさん:35 歳 安静時心拍数が平均的で 74(Average参照)

Bさん:35 歳 安静時心拍数がアスリート並で 54(Athlete参照)

 

(出典:https://professionalshealthconnection.com/2019/04/12/know-your-heart-rate/)

 

この2人が運動強度60%の運動をするときの心拍数の目標が以下の通りです。

 

Aさん①111②110.07③110.1④140.6

Bさん①111②110.07③110.1④132.6

 

④のカルボーネン法ではその差が明らかになりました。心拍数の低いBさんのほうが、目標にする心拍数は低い結果となりました。

 

有森裕子さんも日経Gooddayの記事で「一般的によく使われる心拍数の計算式」としてカルボーネン法を紹介していました。

 

 

 

目標運動強度とは

 

カルボーネン法で目標心拍数を算出するときに使用する目標運動強度とは以下のとおりです。

 

出典:ランナーズHP

 

 

つまり、年齢35歳、安静時心拍が60の人が、ダイエット目的に運動をするとしたら、以下の計算式になります。

((220-35)-60)×40~70(%)+60=110~147.5

心拍数を110~147.5の範囲に保つようにすればよいということになります。

 

カルボーネン法と徐脈

カルボーネン法は心拍数が高め

 

ふむふむ、カルボーネン法では、安静時の心拍数を考慮した目標心拍数を算出してくれるんだな…ということは分かりました。

ただ、上記の①~③と、④のカルボーネン法の違いで気づかれた人もいるかもしれませんが、けっこう差が開いています。

最も離れている場合で、Aさんで30.53、Bさんで22.53も違います。

つまり、Gellish氏の提唱する②の計算式では、110.07で目標クリアなのですが、カルボーネン法では、Aさんは140.6、Bさんは132.6まで心拍を上げないといけないことになります。

 

カルボーネン法だと、徐脈さんには厳しい

 

ところで筆者は昔から徐脈の人間です。毎年の健康診断で、必ず書かれるのが心電図の「洞性徐脈」。

 

 

今年は問診のとき、70歳くらいの女医の先生とお話する機会があり、結論から言って、マラソンはやってもいいけど、練習せずにいきなり走るのはダメとのことでした。普段から定期的に走っていればいいけれど、突然、高強度のスポーツをしてはいけないそうです。

 

ちなみにわたしの、直近3か月の心拍数データです。

 

 

安静時の心拍数:38,39,38

高い時の心拍数:131,120, 118

 

就寝時は30~34の範囲でいることが多いです。今朝の数値は以下の通りでした。

 

 

こんなふうに心拍数が低い人の心臓を「アスリート心臓」と言うそうで、トライアスロン、ランナー、水泳選手など、有酸素運動を行う人に多いようです。

 

例えばわたしの安静時心拍 38 を先ほどの①~③に当てはめると

Aさん①111②110.07③110.1④140.6 平均74から1.9倍

Bさん①111②110.07③110.1④132.6 平均54から2.46倍

徐脈さん①111②110.07③110.1④126.2  平均38から3.32倍

 

徐脈さんは、平均38から126.2にするには、単純計算で3.32倍上げないといけないことになります。

 

徐脈のおまけ:スポーツ心臓と徐脈性不整脈の違い

 

徐脈には、スポーツ心臓によるものと、徐脈性不整脈によるものの2つがあります。

日本心電学会理事、日本不整脈学会理事の山下氏は日経Gooddayの記事で、以下のように書いています。

 

徐脈性不整脈」になると、4~5秒間心臓が止まることがある。すると脳に血が届かなくなって失神してしまう。

スポーツ心臓が原因で徐脈になる人との違いは、いくら運動しても心拍数が70や80くらいまでしか上がらないことだ。そのため、すぐに息が切れて長時間の運動ができない。いざとなれば心拍数を増やせるスポーツ選手の徐脈とは異なり、まったく持久力がなくなるわけだ。

 

 

わたしの場合、心拍数が70~80しか上がらないわけではないので、「徐脈性不整脈」ではないようです。とはいえ、昨日の全力ダッシュをやっても最大心拍数は、やっとこさ135~139。①~③では運動強度が80%、カルボーネン法だと70%です。下のランネットのHPのデータでは、ちょうど分かれ目ですね。

 

 

有森裕子さんは前述の記事で以下のように書いています。

 

特に、レースの準備で心肺機能を上げて追い込まなければいけない時期は、ウオーミングアップとなる60分間ジョグの心拍数が120だとすると、本練習では180ぐらいをキープするような高い負荷をかけたトレーニングを行います。

 

最大心拍数を180にするということは、25歳のアスリートだとして、①~③の計算式では、運動強度は90%以上。瞬発力・運動能力を鍛えるトレーニングをしているわけですね。

おわりに

 

最近では、ランニングウォッチやワイヤレスイヤフォンなどのウエアラブル活動量計など、心拍数を測れるものが多くありますね。

こうしたランニングデバイスを上手に活用して、走行距離やスピード、心拍数などをチェックしながら、効率的にトレーニングするのもよいと思います。

 

 

 

 

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