ガチゆる走でレース後半に強くなろう

ランニング

 

 

小出監督の名著『30キロ過ぎで一番速く走るマラソン』には、以下のように書いてあります。

 

マラソンには後半型の走りが向いている。前半は楽に走ってエネルギーを温存し、徐々にペースを上げながら、後半で最も速く走るのがよい

 

30キロ過ぎで一番速く走るマラソン サブ4・サブ3を達成する練習法 (角川SSC新書) (日本語) 新書 – 2013/11/9
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多くのランナーから圧倒的な支持を得ている、ランナーのバイブルと言ってもいい本であり、わたしも何度も読み返しています。監督のお人柄が表れていて、高橋尚子さんや有森裕子さんのエピソードなど、マラソンファンにはたまらない内容です。

 

ちなみにわたしはニューヨークシティマラソンに参加したとき、偶然、小出監督にお会いすることができました。教え子が出場されていたそうです。「あの子なんだけどね、すごく速い子なんだよ~」と話しかけてくださり、ニューヨークシティマラソンに参加したと話すと「わざわざすごいね~」と一般人のわたしにとても親しみやすく話しかけてくださいました(感激)。

 

本の話に戻りますが、「レース後半の失速」は、実際のところ、どんなにレースを重ねているランナーでも免れないと聞きます。程度の差こそあれ、多少はペースが遅れ、イーブンで走れたらその日はそうとう調子が良かったのだという認識です。オリンピックの日本代表に選出される選手であったとしても、距離ごとのペースを見ると、終盤にはほんの少しではあっても、やはりタイムが落ちています。

 

そんな後半の失速を抑える練習のひとつとして、今日は『ガチゆる走』について調べてみました。

 

ガチゆる走とは

 

 

 

ランニング学会副理事長であり、「マラソンランナーへの道」「続・マラソンランナーへの道」「マラソンの科学」など、多数のマラソン関連著書を執筆されている筑波大の鍋倉賢治教授が提唱するランニングの練習方法です。

 

NHK BSのランニング情報番組『ラン×スマ』でその練習方法が紹介されると、大きな話題となりました。

 

『ガチゆる走』を一言で言うと以下の通りです。

 

エネルギーの源である糖質を節約しながら、脂質を効率よく使える身体を作り、 マラソン後半もエネルギッシュに走るためのトレーニング

 

脂質を使うということは、ダイエットにもよさそうですね。それでは詳しく見ていきましょう。

 

ガチゆる走のしくみと効果

 

 

科学的に解説すると以下のとおりです。

運動のエネルギーになるものは「糖質」「脂質」の2つです。

わたしたちの体内に貯蔵されている量はそれぞれ、糖質1,600~2,000kcal、脂質は1kgあたり7,000kcal。

この2つが走る時のエネルギーになるのですが、糖質ばかりをエネルギーを使ってしまうと、レース後半には糖質が不足し、失速してしまいます。

 

 

 

 

しかし1kgあたり7,000kcalのエネルギーを持つ脂肪を上手に使える身体になれば、糖質を節約しながら、後半まで粘りの効く走りができます。

 

 

 

 

「脂質の代謝力を上げる身体を作ること」がガチゆる走の目的です。

 

 

ガチで走る意味

 アドレナリンや成長ホルモンが分泌されて脂肪分解が促される
 短時間に糖の貯蔵量が減るため、脂質代謝のスイッチが入る

 

 

 

ゆるく走る意味

 分解が促された脂肪が燃え続ける

 

 

ガチゆる走のやり方

 

 

 

 

合計10kmの練習内容は以下の通りです。

鍋倉教授によれば、通常のランニングに比べ、ガチゆる走では脂質代謝が20%アップするそうです。

 

1. ジョグ1kmでウォーミングアップ

2. 1kmを全力(ガチ)で走る。「レースペースより1分速く」が目標です。

3. 3分間休憩。糖質を摂りたくないので、スポーツドリンクではなく、水を飲む

4. 8kmをゆるいペースで走る

 

ガチのアレンジ

 200m ✕ 5本を全力で走る
 1km ✕ 2本を全力で走る

 

 

ゆるのアレンジ


 距離は7~20kmまで幅広く勧められています。ゆっくり走って、脂質代謝力を上げます。

 

Tarzan Webでは、脂質消費量の高さについて、以下のように紹介されていました。

 

左は事前運動なしで16㎞走ったケース、右はジョグ1㎞と全力走1.5㎞を行った後13.5㎞走ったケース(ランのペースは同じ)。右の方が脂質消費率が高くなっている

 

 

 

 

ガチゆる走ではないけれど、脂質代謝力を上げる方法

 

 

脂質代謝力を上げるには、「朝ラン」もおすすめです。 こちらもTarzan Webからの情報です。

 

男性ランナー5人による実験データ。90分のトレッドミル走を早朝(絶食状態)、夕方(摂食後)に行ったところ、前者の方が脂質の酸化率(燃焼率)が高いことが判明した。

 

 

 

 

 

寝ている間に体内の糖質は消化されます。つまり起床後は、ガチ走が終わったあとのような状態ということです。これはチャンス。そのままゆっくりジョグをするだけで、脂質を消費し始めます。 安全のために、以下の点にはご注意くださいね。

 

朝ランで気をつけたいこと

 朝は体温が低いのでウォーミングアップをすること
 朝は低血糖なので、ゆっくり走ること

 

 

 

おわりに

 

 

 

 

レース後半の失速を防ぐだけでなく、脂肪を燃やしやすい身体を作る効果もあるガチゆる走。

しかもたった1kmを全力で走ってしまえば、あとは8kmゆったりと走るだけ。

1kmがつらいようなら、200m x 5本でもよいので、キツいのは最初だけです。

全力で走り、「今は糖質を枯渇させて、脂肪燃焼にスイッチを入れているとき」

ゆるく走り、「今は脂肪を燃やす身体を作っているとき」と考えれば、モチベーションも上がりそうです。ぜひこれからの練習に『ガチゆる走』を取り入れてみてくださいね。

 

 

 

 

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