ここ数年でよく耳にするようになった「遅筋」「速筋」という言葉。
「マラソンランナーは遅筋が発達していて、
短距離走者は速筋が発達している」
と例えることがあります。
では、マラソンランナーはただ遅筋だけを鍛えればいいのかと言えば、もっと効率的にタイムを縮める方法があるようです。
遅筋のまとめ
赤筋(せっきん)とも呼ばれる、赤い筋線維でできた筋肉のことを「遅筋」と言います。
まとめると、以下のとおりです。
ミオグロビン(酸素を筋肉に取り込む色素たんぱく質)を多く含む筋線維
筋肉の収縮速度は遅いが、長時間動かし続けることができる
酸素を貯め込む筋肉なので、長時間の運動に向いている
有酸素運動のときに使われる
脂質を主なエネルギー源とする
ミトコンドリアを多く含む
太い筋肉ではなく、細い筋肉が特徴
酸素を蓄積して、長時間動かせるので、まさにマラソンランナーが鍛えたい筋肉です。
マグロやカツオは赤身の魚ですが、それは回遊魚であり、長距離を泳ぐ習性があるからです。
速筋のまとめ
白筋(はっきん)とも呼ばれる、白っぽい筋線維でできた筋肉のことを「速筋」と言います。
まとめると以下のとおりです。
ミオグロビンが少ない白い筋線維
筋肉の収縮速度が速く、瞬発力の必要な運動に向いている
無酸素運動のときに使われる
糖質を主なエネルギー源とする
太い筋肉が特徴
短距離選手のように太い足をした選手は、この速筋を鍛えているためなのですね。
タイやヒラメのような白身魚は、海底や沿岸に潜んでいて、捕食をするときだけ瞬発力を発揮します。
さらに、速筋には2種類ある
さらに言うと、速筋は以下の2種類に分けられます。
Ⅱa型線維:脂質をエネルギーにすることもできる。
Ⅱb型線維:速筋中の速筋といえる速筋。糖質がエネルギー源。
速筋と遅筋は、どんなに鍛えても互いに変わることはできませんが、このⅡa型は少し性質が異なります。
つまり、このⅡa型は「中間筋」と呼ばれ、例えば持久力を伸ばすトレーニングをすることで、速筋本来のスピードを保ちつつ、長時間の運動にも耐えうる能力を身につけることができるとされています。赤筋と白筋の間の筋肉として、「ピンク筋」と呼ばれます。
中間筋を鍛えることで、タイムを縮めることができる
大げさに言うと、短距離走者の瞬発力、爆発力を持ちつつ、そのスピードを長時間保ち続けることができる筋肉、それが中間筋です。
中間筋は、トレ-ニングをすることで、毛細血管の密度が高くなり、また、筋肉内のミトコンドリアの数が増える筋線維です。
以下の記事では、筋肉内のミトコンドリアが増えるメリットについて書いています。もしよかったら、覗いてみてくださいね。
その中間筋を鍛える方法は、ズバリ、スクワットのような中強度のトレーニングを数分単位で行うことです。NHKの以下のサイトにはピンク筋を鍛えるスロースクワット「ピントレ」が紹介されていました。
あなたの遅筋と速筋の割合は?
以下のタイム、距離を測ることで、自分の遅筋と側近の割合を知ることができます。
50m走のタイム
12分間走の距離
計測後、以下のリンクにアクセスすると、タイムや距離を入力するだけで割合が自動計算されます。
ぜひお試しくださいね。
おわりに
長時間動かすことのできる遅筋と、スピードを出すのに向いている速筋。マラソンを走るには、もちろん遅筋が必要ですが、ふだんのスピード練習には速筋があったほうが有利ですよね。トレーニングをするときには、「今日は遅筋を鍛えるLSD」「今日は速筋を鍛えるインターバル」など、バランスのよい筋肉をつけて、マラソンの結果につなげていきたいですね。
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